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アカデミアと民間企業における研究職の収入の差

アカデミアと民間企業における研究職の収入の差

研究職を志す方々にとって、就職先を選択する上で重視するポイントは実に様々だと思います。

「仕事の満足度の高さ」「研究テーマとの関連性」はもちろんのこと、「給与」「福利厚生」「仕事の将来性や安定性」「裁量の大きさ」なども重要な要素と言えるのではないでしょうか。

そこで今回は、その中でも「研究職の給与」にフォーカスして、主にアカデミア(大学)と民間企業における研究職の収入の差をご紹介したいと思います。これからの研究職としてのキャリアを考える上で、ぜひ参考にしていただければ幸いです。

 

【目次】
1-そもそも研究職の給与体系とは
2-職位から見る研究職の平均年収
┗2-1 アカデミアの研究職の場合
┗2-2 民間企業の研究職の場合
3-研究職の業種別平均年収ランキングTOP5
4-まとめ

そもそも研究職の給与体系とは

まずは、研究職の給与体系がそもそもどのような構成になっているのか、基本的な情報からまとめてみたいと思います。

結論として、研究職の給与体系は一般職と基本的には変わらず、「基本給」「能力給」「歩合給」「賞与」「各種手当(住宅手当・通勤手当など)」から構成されています。

その上で、おおよその給与額は、独立行政法人(国公立大学)であれば法人が設置されている自治体の公務員給与と同額程度、私立大学や民間企業であれば一般職より多少高額になることが一般的です。

なお、私立大学や民間企業においては、能力や成果に基づく年俸制を採用しているケースもあります。

また、研究職の給与は、年齢や勤続年数の長さによって変化していくことが一般的。

その他、「最終学歴」や「語学力」、「共同研究実績」などによって給与の査定が高くなる傾向があります。
上記に加えて研究・開発に役立つスキルや経験があれば、より高収入を目指すことも可能になる仕事と言えるでしょう。

職位から見る研究職の平均年収

上記を踏まえて、続いてはアカデミアと民間企業における職位による平均年収の違いを見てみましょう。 

■アカデミアの研究職の場合
まず、アカデミアの場合です。『2018年度賃金構造基本統計調査』によれば、大学の准教授の平均年収は約870万円。
教授の平均年収は約1100万円となっています。

しかし、これはあくまでも「准教授」「教授」といったポストの場合。

「ポスドク」の平均年収は約367万円とされており、年齢を加味しても、とても高い水準とは言えません。

加えて、「准教授」「教授」のポジションに至るまでは、博士課程修了後に年月をかけてキャリアを積み重ねていく必要があります。

近年、人材の数に対してポストが圧倒的に不足している現状も無視することはできないでしょう。

ちなみに、『第5期科学技術基本計画』によれば、大学教授の年齢構成は30代が全体の0.3%、40代が17%、50代が54%と、8割以上が50代以上になって教授のポストに就いていることがわかります。

研究者にどれだけ実力や実績があっても、ポストが空かなければキャリアアップは難しいという現状から見ても、「アカデミアの研究職=年収が高い」と一概には言い切れないでしょう。

■民間企業の研究職の場合

続いては、民間企業の研究職の場合を見てみましょう。民間企業の研究職の場合、職位は「研究員」「主任研究員」「課長」「部長」と序列化されていることが一般的です。

「研究員」の場合、平均年収は300万円~400万円程度。
最初から高い水準とは言えないものの、着実に経験を積んでいけば、20代後半から30代前半にかけて「主任研究員」に昇格し、平均年収は400万円~500万円ほどにアップするとされています。

その後、「課長」になれば、平均年収は500万円~600万円ほどに。
「課長」に昇格するのは、30代後半から40代にかけての時期が一般的とされています。

そして「部長」に昇格すれば、平均年収は800万円前後。大企業であれば1000万円以上になることも少なくありません。

「部長」のポジションに就けば、学会発表などにおいて企業の顔として活躍する機会も増えてくるでしょう。

ちなみに、近年では民間企業の研究職においてもアドバンスト制度の導入などが進んでおり、それに伴って研究者の待遇や収入も以前に比べて良くなっている傾向があります。

これはGAFAなどを意識し、優秀な研究者たちを日系企業内でも高く評価しようという動きがあるため。

実際に、アカデミアから民間企業へ転職した方で、年収が200万円以上アップしているケースも数多くあるようです。

研究職の業種別平均年収ランキング

最後に、日本の民間企業における研究職の平均年収を、業種別にまとめたランキングを見てみましょう。 

 

■研究職の業種別平均年収ランキングTOP5

第1位 自然科学系研究職 628.2万円

第2位 自動車技術系研究職 435.9万円

第3位 化学系研究職 428.2万円

第4位 機械技術系研究職 355.5万円

第5位 電気・電子・電気通信系研究職 319.8万円

※厚生労働省が発表している『賃金構造基本統計』から賃金データを取得できた業種に限る。

※業種の名称については、総務省統計局が公表している『日本標準職業分類』参考。上記統計での名称表記と異なる場合があります。

上記から、自然科学系研究職の平均年収が、他の研究職と比較してひときわ高い水準であることがわかります。

とはいえ先述したとおり、民間企業の場合、給与額は企業や業種などによって大きく異なることが事実。

その上で、こちらの統計は企業規模や年齢を限定していないため、あくまでも業種ごとの平均年収の目安程度に留めておくのがいいでしょう。

まとめ

今回は「給与」を軸に、アカデミアにおける研究職と民間企業における研究職の違いをご紹介しました。

一言で研究職と言っても、勤務先や企業規模、また研究領域などにより、その収入にかなりの差があることをお分かりいただけたのではないでしょうか。

もしも研究職として高収入を目指すのであれば、収入が増えやすい業種や民間企業を選ぶ、というのも一つの選択肢と言えるでしょう。

 

もちろん、アカデミアにおいても民間企業においても、研究を続けることで、世界を驚かせる発見やイノベーションの実現に関われる可能性があるという点は共通しています。

 

単純な年収だけではなく、自身の関心のある研究領域や、研究に対する信念や情熱も踏まえて就職先を決めることで、きっとあなたにピッタリの仕事と出会えるはずです。

 

 

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