エンジニアはさまざまなシステムの構築の運用やサポートを行う、IT業界の中心ともいえる職種です。やりがいや達成感を感じられる仕事ですが、意外にも転職を考える人は少なくありません。
そこで、今回はエンジニアが転職を考える理由を解説し、転職活動の流れや転職方法について紹介します。
エンジニアが転職を考える理由
エンジニアの転職理由に挙げられるのは「給与が見合っていない」「仕事内容に不満がある」「適切な評価がされなかった」などが挙げられます。厚生労働が調査した「平成27年転職者実態調査」では、転職理由として最も多かったのが「賃金問題」でした。どの職業でもいえることですが、業務の大変さや労働時間に見合った賃金をもらえなければ、従業員が不満に思うのはやむを得ません。
しかし、エンジニアの給与は企業に働く正社員の平均年収を上回ります。ただ一概にエンジニアといっても職種によって専門性が異なり、活躍の場もそれぞれです。そのため、所属する企業や職種によっては賃金が低くなる可能性があります。業務内容ややりがいは満足できてもモチベーションを維持できず、また仕事内容の相違や仕事評価の不満も転職を考える理由となっているようです。
エンジニアが転職する際の方法
エンジニアが転職する際に利用できる方法として「転職サイト/エージェントサービス」「スカウトサービス」「リファラル採用」「SNS」などが挙げられます。ここでは、それぞれの転職方法の特徴と、どのような人におすすめなのかを紹介します。
■転職サイト/エージェントサービス
「転職サイト/エージェントサービス」は、企業が掲載した求人情報を、求職者が閲覧できるシステム(サイト/サービス)です。
転職サイトは、掲載される企業数が多く、求人同士を比べて閲覧できます。また、賃金や勤務場所など自分の探している仕事の条件を登録すると、おすすめの求人情報が紹介されます。企業側も条件にマッチした人を見つけるとスカウトをできるため、マッチングした企業の話を聞けるのも魅力といえるでしょう。
エージェントサービスは、求職者と企業の採用者の間に仲介者が入り、転職支援サービスです。転職先の条件を聴いた上でおすすめの求人を紹介するほか、応募や書類の添削、面接などさまざまなサポートをしてくれます。また、転職サイトでは扱わない企業の情報も受け取れる可能性があります。
いずれも転職に向けた情報が豊富でサポート体制が充実しているため、エンジニアが転職活動をする際にはおすすめです。
■スカウトサービス
「スカウトサービス」は、先ほど紹介した転職サイトとは異なり、登録した情報を見た企業からオファーを受ける仕組みのサービスです。
流れとしては、まず求職者がサイトに登録して、職務経歴など必要な情報を記入します。それらを見て興味を持った企業は、求職者に対して選考のスカウトメールを送信します。やり取りをしたうえで人事担当者が自社の条件に合うと判断すると、直接スカウトメールを送る仕組みです。自分で求人を探すのではなく、企業からスカウトを待つ形ですが、上手く活用すると転職先をスムーズに探せるでしょう。
■リファラル採用
「リファラル採用」とは、アメリカで広く使われている「紹介」による転職方法です。
自社で働く社員から、友人や知人など個人的につながりがある人を紹介する手法で、人手不足の企業やベンチャー企業で取り入れられつつあります。いわゆる「コネ採用」と呼ばれるものは血縁者が中心ですが、リファラル採用は社員の人脈によって成立します。転職サイトなどに登録していなくても利用できる一方、不採用になった際にはトラブルになる可能性もあるため注意しましょう。
■SNS
「SNS」の普及が進む現代では、SNSを活用した転職も行われるようになっています。
TwitterやInstagramなど、多くの人が利用するSNSで、求人情報を掲載する企業が増えつつあります。求職者はその内容を確認して、企業と直接やりとりをします。また、企業側からオファーを出すことも可能です。
採用の多様化として受け入れられる一方、求職者のプライベートな面も企業にみられてしまう可能性があるため、求職用のアカウントを作成するなど、投稿内容に細心の注意を払う必要があるでしょう。
エンジニアが転職する際に注意すべきこと
エンジニアが転職する際に注意すべき点は「給与」「勤務時間」「スキル合致」「福利厚生」の4つが挙げられます。転職サイトや企業の説明会などにおいて、この点に注目して情報を収集しましょう。
■給与
給与面は、転職先を探す際に特に気にする項目でしょう。
先程紹介したように、エンジニアを含めた転職する理由の第一位は、賃金の問題です。仕事の内容はやりがいがあっても、それに見合う給与が支払われているかどうかはモチベーションに大きく影響します。エンジニアは専門職として給与が平均より高いとされていますが、企業によって水準はさまざまです。また、ボーナスや給与の内訳についても事前にリサーチしておきましょう。
■勤務時間
勤務時間は、転職先を探すうえで重要な項目といえます。
基本的にエンジニアは、日勤で働くことがほとんどです。夜勤や宿直がない分、安定した勤務時間で働けるケースが多いでしょう。しかし、案件によってそれぞれ納期があるため、納期が近づくと激務になる可能性があります。
残業を連日しなければならなくなると、体調を崩したりプライベートの時間を確保できなくなったりするケースも考えられます。業務内容によって大幅な残業を要する場合は、残業代が発生するのかも確認しましょう。
■求められるスキルに合致するか
自分の持っているスキルは、企業の求めているものと合致しているかも確認したいポイントです。
エンジニアには、システムエンジニアやインフラエンジニアなど、業務は類似していても専門性の違う職種がさまざまに存在します。そのため、エンジニアの求人は企業の業務内容と必要なスキルの確認が必須といえるでしょう。
例えば、プログラマーの勉強と開発経験を積んだ人であっても、保守の業務をするためには異なるスキルが必要です。そのまま転職してしまうと現場でいざ業務にあたるときに、企業の期待に応えられない可能性があります。
■福利厚生
福利厚生は、企業に勤める人が受けられる非金銭での報酬です。さまざまな福利厚生の内容が提供されており、いずれも生活を充実させるものとなっています。テーマパークの割引サービスなど、家族にもぴったりなものもあります。
また、資格取得を支援する企業もあります。多岐にわたる知識が必要なエンジニアには嬉しい制度といえるでしょう。
福利厚生が充実している企業に入社できれば、普段の生活の充実にもつながるため、転職時のポイントとして押さえることをおすすめします。
エンジニアが転職する際の流れ
転職活動をするには、スケジュールを立てて計画的に実施する必要があります。ここからは、エンジニアが転職する際の流れを整理していきます。
1. 転職のスケジュール立て
まず必要になるのは、転職活動を行うためのスケジュール立てです。
働いている間に転職活動をするのであれば、いつ退職して、いつまでに次の職場を決めるのかを決めます。転職活動に要する期間は、およそ「3ヵ月〜6ヵ月程度」とされています。書類作成や応募など、それぞれの動きをいつまでにできれば、目標としている時期に内定をもらえるかを確認してみてください。
2. 情報収集
次に行うのが、企業の情報収集です。自分がどのような条件で働きたいのか具体的な希望を持って求人情報に目を通しましょう。
また、自分の希望に沿った内容だけでなく、その企業の将来性や特徴についても調べることもおすすめします。特に働いていた人の口コミや社内の様子を見られる相談会などは、職場環境を確認できる有効な情報です。
3. 履歴書/職務経歴書作成
転職活動に欠かせない履歴書と職務経歴書は、転職活動の早い段階で作成しましょう。書類の内容は選考にも関わってくるため、慎重に内容を記入する必要があります。
自分だけでは書類の作成に不安がある場合は、先ほど紹介したエージェントサービスを利用して、書類の添削を受けるのもおすすめです。また、最近では経歴書の記載例やテンプレートなどがネット上にも掲載されているため、参考にすると書き進めやすいでしょう。
4. 求人応募
書類の準備ができたら、求人情報を見て応募をします。事前に行った情報収集の内容を活かし、条件に合った企業には積極的に応募しましょう。
転職サイトやエージェントサービスを利用すれば、よりマッチングした条件の企業と出会える機会が増えるため、スムーズに応募の流れに進めます。ただし、サイト上に掲載されている情報のみだと職場の雰囲気はつかみづらいため、興味を持った企業には直接足を運ぶ機会を持つことでより企業理解が進みます。
5. 面接
選考で面接が決まったら、面接対策をしましょう。必ず聞かれるであろう「志望理由」や「転職理由」は、あらかじめ何を伝えるか整理して、デモンストレーションしておくと、安心して当日に臨めます。
また、企業独自の面接の質問もあるため、リサーチしておくとその場で慌てずに済むでしょう。面接の当日は身だしなみやマナーといった社会人の基本的な面も評価の対象です。面接対策として、今一度確認してください。
6. 内定
面接終了後、数日後に内定の連絡がきます。内定を受けたら、まず労働条件の確認をしましょう。
面接時に聞いていた内容と大きくずれが生じている場合は、入社承諾を出す前に確認して摺り合わせをするのをおすすめします。ここを曖昧にすると、入社して後にトラブルにもなりかねません。
また、仕事をしながら転職活動をしている場合は、現在の職場を退職する手続きも待っています。新しい職場に入る時期も考慮しながら、退職の準備をしましょう。
まとめ
エンジニアが転職する際には、給与面や勤務時間などの条件を考慮しながらの転職活動をおすすめします。情報を収集しながら転職活動をスムーズに進めるためには、転職サイトやエージェントサービスなどを有効に活用し、自分に合った企業とつながるのが近道といえるでしょう。
また、転職活動には流れがあります。スケジュールに合わせた転職ができるよう、事前の計画が必要です。今回の記事を参考にしながら、エンジニアとして充実した業務を行えるよう、転職活動に挑んでみてください。
コメント