E検定合格で取得できるE資格とは、日本ディープラーニング協会が認定する、ディープラーニングに関する知識やスキルが問われるエンジニア向けの資格です。世界初のE資格があれば、 AIの活用がますます広まる現代社会において、転職や就職、キャリアアップに役立つことでしょう。
本記事では、E検定の概要や資格を取得するメリット、試験の難易度、勉強法などを解説します。
E検定・E資格の概要
E検定・E資格とは、どのような資格なのでしょうか。概要をまとめました。
■E検定とは
E検定とは、日本ディープラーニング協会(JDLA)が主催しているE資格を取得するための資格試験のことです。AI技術による日本の産業競争力向上を目指している同協会が、AI人材の育成を目的として2019 年からスタートしました。エンジニアを対象としたAI資格は、E資格が世界初とされています。
試験では、人工知能や機械学習についての知識、ディープラーニングの理論を理解して、適切な手法を選択して実装する能力や知識を有しているかが判定されます。E資格を取得しておけばエンジニアとしての市場価値を高め、データサイエンティストとしての活動の幅も広げられることでしょう。
■G検定との違い
ディープラーニング協会では、E資格のほかに、G検定・G資格というディープラーニング検定も設けています。
E検定が、プログラミングや応用数学など実践的な内容で、技術職に向けた知識が試験範囲であるのに対し、G検定は、ディープラーニングをビジネスに活用する際に必要となる基礎知識や応用能力が試されます。E資格がエンジニアを認定する資格なら、G資格はジェネラリストを認定する資格と言えるでしょう。
AIの需要が高まるにつれ、AIエンジニアやデータサイエンティストによるE資格の取得が増えています。一方のG資格は、AI技術を使った事業への応用に役立つことから、経営者やコンサルタント、マーケティング職、上流エンジニアなどの取得が多くなっています。難易度はE検定よりもG検定の方が低く、AIについて知るためにG検定を取り、追ってE検定を受験するエンジニアも多いようです。
日本ディープラーニング協会では、双方の有資格者の協力によって新しい価値のある技術が生まれることを期待しています。
■E資格が役立つ仕事・業界
E資格を取得しておくと、以下の仕事で役立たせることができます。
●AIエンジニア
AIや機械学習、ディープラーニングなどのスキルを駆使して次世代のシステムを構築するAIエンジニアは、これからもさまざまな産業で活躍が期待されている将来性の高い職業です。機械学習の実装に関する知識を学べるE資格を取得しておくと、転職やキャリアアップに有利な武器となります。
●データサイエンティスト
ビッグデータを解析してビジネスに活かす戦略を構築するデータサイエンティストは、売上予測やマーケティング活動の効率化、業務の合理化など、さまざまな分野で需要が高まっている職種です。ビジネスや市場トレンドなどの知見に加え、統計解析やITのスキルも必要なので、E資格取得は必須ともいえるでしょう。
●ゲームプログラマー
AIゲームの進化に伴い、プログラミング技術を使いゲーム開発を行うゲームプログラマーにも、機械学習に関する深い知識が求められるようになりました。E資格のあるゲームプログラマーなら、転職市場でも需要の高い人材となるでしょう。
E検定を受けるメリット
E検定を受けることで得られるメリットも、確認しておきましょう。
■業務に活用できる実務的な知識を深く学べる
ディープラーニングの知識を身につけることで、さまざまな業種・分野で、今まで以上に業務の効率化を図ることができます。E検定を受けるために勉強すると実装レベルで学べるので、業務にすぐに最大限活かせるのが大きなメリットとなります。
■スキルの証明となり就職や転職で有利に
E資格はスキルの証明となるので、AIエンジニアやデータサイエンティストの転職・キャリアアップに有用な武器となります。実務経験がない場合でも、E資格があれば即戦力として採用される可能性が高まります。
■JDLAの交流会に参加できる
E資格を取得すると、日本ディープラーニング協会が主催する各種コミュニティに参加できます。ディープラーニングに精通した専門家同士の交流を通じて、事例や失敗談などの実用的な情報を得られるほか、人脈を自分のキャリアに役立てることもできるでしょう。
■E資格のロゴを掲げることができる
E検定に合格すると、E資格のロゴを名刺などに掲載することができます。高い専門性の証明になり、世界初のAIエンジニア資格を取得したステータスにもなります。
E検定試験概要
E検定の実施概要は以下の通りです。
■受験資格
E検定を受験するには、「JDLA認定プログラムを試験日の過去2年以内に修了していること」が必要となります。認定プログラムを提供している事業者は複数あり、事業者によって費用や内容が異なります。事業者の中には数十万円の費用がかかるところもあり、オンライン講座のものや、模擬試験の有無といった違いがあるので、自分に合った事業者を選ぶようにしましょう。
■実施日程・受験費用
試験は毎年2月と8月の2回行われており、「応用数学、機械学習、深層学習、開発・運用環境といったシラバスより、JDLA認定プログラム修了レベルの出題」という範囲で、多肢選択式の100問程度の出題となります。試験時間は120分で、全国の指定会場で受験することになります。受験費用はいずれも税込みで、一般が33,000円、学生22,000円、27,500円です。
E検定の難易度
E検定の合格率や難易度は、どのくらいなのでしょうか。
■合格率
協会が発表した2022年2月実施の「JDLA Deep Learning for ENGINEER 2022 #1」では、受験者数1,327名のうち合格者が982名で、合格率は74.00%となりました。合格者の年齢別の比率は、20代の40.33%が最多で、これに30代(31.77%)、40代(19.14%)が続いています。20~30代が主な受験者となっているようです。
合格者の職業別では、「ソフトウェア業」の25.15%を筆頭に、「情報処理・提供サービス業」(22.10%)、「製造業」(18.53%)が続き、実務で活かすことができる職業が上位となっています。職種別の合格率は、「研究・開発」が42.97%、「情報システム・システム企画」が26.68%で上位となりました。
また、過去6回の各科目の平均得点率は、応用数学63.41%、機械学習67.59%、深層学習63.97%、開発環境66.68%で、概ね7割得点できると合格となるようです。
■必要な勉強時間
Study-AI株式会社が行ったアンケート調査によると、E資格取得のために勉強した時間は、「100時間〜200時間」が45.59%で最多となり、これに「200時間〜300時間」が42.65%で続いています。合格率が7割と比較的高いとはいえ、事前に認定プログラムの受講も含め、しっかりとした対策が必要なことがわかります。
E検定の勉強法
最後に、E検定に合格するための効果的な勉強法を解説しておきましょう。
■JDLAの認定プログラムを受講する
受験資格になっているJDLA認定プログラムでは合格に必要な知識を全て学べるので、講座内容をしっかりと身につけておくことが重要です。機械学習初心者で、認定プログラムをいきなり受講するのがハードルが高いなら、JDLAの公式サイトで紹介している推薦図書などで勉強を始めるのもよいでしょう。
■過去問がないので講座で課題を解決することが重要
E検定の過去問は公開されていません。そのため、認定プログラムの講座で課題を解決しておき、模試で傾向を把握するようにしましょう。わからないところはそのままにせず、何が出題されても支障のないように、万全な準備をしておくようにしましょう。
まとめ
AI人材は圧倒的に不足しており、今後もAIエンジニアやデータサイエンティストの需要が高まる中で、E資格のようなスキルを証明する資格があれば、役立つ場面が多いことでしょう。転職やキャリアアップにも有利なE資格は、ぜひ取得しておくことをお勧めします。
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