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R言語入門|特徴や利用する職業、活用シーン、Pythonとの違いも

R言語入門|特徴や利用する職業、活用シーン、Pythonとの違いも

統計解析やグラフィック分野に特化しているプログラミング言語の「R言語」は、PythonとともにAIや機械学習の浸透に伴い注目度が高まっています。R言語を利用できる人材は、データサイエンスやAI分野の転職市場でも有利に進められることでしょう。

ここでは、R言語を利用する職業や活用方法、R言語とPythonの違いなどについて解説します。

R言語を理解する

R言語にはどのような特徴があるのでしょうか。詳細を理解しておきましょう。

■R言語とは

R言語とは、オープンソースで利用できる統計やデータ解析に特化したプログラミング言語です。PythonやMATLABと比較すると短いコードで統計処理を実施でき、ベクトル(リスト)処理の仕組みで柔軟なデータ処理を実現しています。データサイエンティストやデータアナリストであれば、Python、Excel、SQLと同様に習得しておきたい必須ツールのひとつです。

■R言語の特徴

R言語には、以下のような特徴があります。

●ベクトル処理を実行できる

ベクトル処理とは、個々のデータを「ベクトル」という概念で取り扱うことです。膨大な量のデータをある程度のかたまりとして処理することで、処理速度を飛躍的に向上させます。ベクトルのための関数が豊富に用意されているのも、R言語が一般化した理由のひとつです。

●可視化に優れたグラフ機能

R言語は、多様なグラフを簡単に作成できるのも特徴のひとつです。折れ線グラフや棒グラフ、円グラフはもちろん、ヒストグラム、ヒートマップ、散布図、樹状図などで可視化できるので、わかりやすく説得力のある資料づくりが可能となります。

●互換性が高い

R言語は、データを外部の統計アプリから簡単に読み込める高い互換性があります。エクセルでも使えるcsv形式はもちろん、統計解析用のプログラムSPSSで保存されるバイナリデータも処理が可能です。

●パッケージが豊富

R言語には多種多様なパッケージが用意されていることも、人気の理由です。データフレームの操作を容易にする「dplyr」やグラフ描画用の「ggplot2」、文字列を操作する「stringr」など、数万に及ぶパッケージが利用可能です。

■R言語でできること

R言語を利用すると、主に以下のようなことが可能となります。

●統計解析

R言語は統計やデータ解析に特化したプログラミング言語なので、収集した大量のデータを分析・探索し、傾向やパターンを究明する統計解析が得意です。AIやデータサイエンスのブームに伴い統計解析の価値が向上していることから、R言語が多用されています。

●機械学習

機械学習とはAIの一種で、経験から学習して自動改善を反復するアルゴリズムやその研究分野の総称です。機械学習は統計解析に深く関わるので、R言語により効率よく進められます。

●テキストマイニング

R言語はRMeCabパッケージを使うことで、日本語の文章を単語に分解して品詞を特定する「形態素解析」を行えます。単語の出現状況の確認やワードクラウドの作成、単語同士の関連性のグラフ化などができ、文意の理解適切な検索を実現します。

●データの可視化

R言語はグラフを作成できる関数が数多く提供されており、データをわかりやすく可視化できるのが大きな魅力となります。

●推測統計、ベイズ統計

推測統計とは、データの一部から全体の特徴を推測する統計方法で、R言語の相関係数を出力するcor関数を使えば、容易に検定することが可能です。またベイズ統計とは、新しいデータを取り込みながら推定や予測の精度を高めていく手法で、R言語のMCMC(マルコフ連鎖モンテカルロ法)を利用することで実行できます。

R言語を活用する職業と活用の場

R言語はさまざまな職業で使われており、活用場面も拡大しています。ここからは、R言語を主に使う職業と活用方法や活用シーンを紹介します。

■R言語を利用する職業

R言語は、以下のような職業で多用されています。

●機械学習エンジニア

機械学習システムの実装や改修を担うのが機械学習エンジニアです。機械学習を効率化するのがR言語なので、機械学習エンジニアはよく使います。「dplyer」や「stringr」などの機械学習向けパッケージも豊富で、機械学習システムを構築する際にR言語が頻繁に採用されています。

●データエンジニア

データエンジニアとは、データの収集や調整、データ管理を行い、データ管理のための情報基盤を構築・運用することが主な仕事です。R言語やPythonなどを用いて、多くのシステム開発に携わります。

●データサイエンティスト

データサイエンスとは、アルゴリズムや統計などの情報科学理論を活用してデータを分析し、有益な知見を見い出す仕事です。統計解析データ分析が主な役割なので、これらを得意とするR言語を頻繁に使用します。

●データアナリスト

データアナリストは、収集したデータを分析するエンジニアです。データ解析に特化したプログラミング言語のR言語は、データアナリストの分析や課題解決の提案に役立ちます。

●AIエンジニア

AIシステムの設計や開発、運用を担うAIエンジニアにとっても相性のよいR言語は、AIの需要増に伴い利用も増えていくことでしょう。

■R言語を活用する場

R言語は、さまざまな分野で役立っています。

●データ分析業務

今では企業の業績向上や成長に、ビッグデータの活用が欠かせなくなりました。R言語を利用すると統計分析やグラフなどによる可視化が容易なことから、データ分析業務が効率化します。

●機械学習やAIの開発

機械学習やAIの分野でも、統計解析に特化したR言語なら、データが持つ特徴を抽出してシステムの学習に活かせます。予測や最適化などの統計モデルは今後もさまざまな分野で必要とされることから、R言語を利用できる人材も需要が増えるでしょう。

●大学など研究や教育の現場

R言語は、大学などの研究や教育の分野でも多用されています。科学論文では統計的な有意差の有無を示す場面もあり、t検定分散分析などさまざまな手法が可能なR言語が重宝します。

R言語とPythonの違い

R言語と同様に統計解析を得意とするプログラミング言語で、一緒に習得しておきたいのがPythonです。活用法や汎用性、習得のしやすさなどでそれぞれを比較してみました。

■主な活用方法

R言語は、統計解析やグラフによるデータの可視化に多く利用される言語です。高度な統計処理も専用の関数やパッケージを使えば短いコーディングで実現可能で、データ解析に最適な言語と言えます。

一方のPythonは、機械学習やディープラーニングといったデータサイエンスの分野で多用されています。機械学習のシステム構築や、R言語ではできないWebアプリ作成などが可能です。

■汎用性

汎用性ではPythonの方に軍配があがります。R言語の利用範囲が統計解析分野を中心としているのに対し、PythonはGoogleのWebサービスやYouTube、Gmailなど幅広い分野で利用されています。

■習得のしやすさ

Pythonは比較的シンプルな記述形式なので、習得もしやすい言語といえます。一方のR言語は、少し複雑なプログラミングを要求されます。日本語でのリソースも少ないのも、学ぶのを難しくしているポイントです。

R言語はこんな人におすすめ

前述したように、R言語はPythonに比べ習得のハードルが高い言語ですが、逆にスキルを身につけておくと、仕事の幅が拡がり転職の有利な武器となることでしょう。特に以下のような人にはおすすめの言語です。

■分析が得意・好きな人

R言語は統計やデータ解析に特化した言語なので、分析することが好きな人や、分析結果を元にしたさまざまな提案が得意な人に向いているといえます。R言語の知識があると、データサイエンスやAIエンジニアへの転職も可能となります。

■Excelユーザー

ExcelユーザーがR言語を習得すると、セルの計算がより効率的に行えます。またExcelよりも高性能なグラフを簡単に作成でき、作業効率が向上します。普段からExcelを利用している人は、R言語の活用で多くの魅力を実感することでしょう。

■AIに興味がある人

AIに興味のある人でこの領域での就職や転職を考えているなら、ぜひ習得しておきましょう。AI・機械学習と統計解析は非常に関連性が高いので、R言語を使えれば選択できる仕事の幅が拡がります。

まとめ

R言語はAIや機械学習などとの相性が良く、今後の社会を支える領域において重要な言語となります。R言語を多用するデータサイエンティストやAI、機械学習の分野で就職や転職、キャリアアップを目指しているなら、ぜひ習得しておくようにしましょう。

 

 

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