文理を問わない多様な人材が揃う
株式会社ALBERT(アルベルト)は、人工知能を活用したビッグデータ分析を強みとするデータサイエンティスト集団。事業の柱は2つある。一つはクライアントから預かったデータを分析し、需要予測や物体検知などの課題解決につなげる「分析コンサルティング」。もう一つは分析結果を活用したシステム導入を行う「システムソリューション」だ。後者には、高性能チャットボット「Proactive AI*」や、類似の商標をディープラーニングで検索する「Deepsearch Logo」など、定型化したサービスも多数ラインナップ。
もっとも「ダントツで引き合いが多い」のは、各クライアント固有の問題に対し、オーダーメイドで対応する分析コンサルティングだ。例えば、製造業の外観検査。プリント基盤のわずかな欠けや傷、ハンダの剥がれなどを検知するのにディープラーニングを使う。データソリューション部第4セクションのマネージャー、行方隆人氏は言う。「一般的に、データソリューション系のベンチャー企業はマーケティング系の領域から入ることが多いのですが、当社は自動車、製造、通信・流通、金融の4つが主なドメイン。かつ超大手クライアントの研究開発領域に注力しているのが独自性です。働く側にとっても様々な産業のデータに触れられるのがやりがいの一つ。反面、各ドメインの知識にキャッチアップするスピードが要求されます」
同社が擁するデータサイエンティストは約100名。そのうち博士了が6名、修士了が35名。経歴はまさに多様だ。心理学、計量経済学など文系出身者も少なくない。理系と一括りにするのも難しい。東大のビッグバン研究所出身の博士もいれば、アラスカの極地研究所で働いていた人物も所属する。職場の雰囲気は「大学院の研究室に近い」そう。原理的な理解を重んじ、毎週の社内勉強会では最新の論文を持ち寄り、参加者全員で〝侃々諤々〞議論するという。
「自由度が高く、働きやすい環境だと思いますね。プロジェクトにしてもマネージャー1名にデータサイエンティストが1、2名という少人数体制。マネージャーはマイルストーンを確認するぐらいなので、やりたいようにやれる。さらにいうと、質の高い仕事をしてもらうためにプロジェクトのかけもちは基本ありません。残業はあっても月10時間程度。3年前に新卒採用を始めましたが、データサイエンティストの離職率はゼロです」
*ALBERTのチャットボット「Proactive AI」は2019年2月28日付で「スグレス」に名称変更しております。
新卒採用にシフト。育成環境を整備
近年、それまで中途中心だった採用を新卒重視にシフトしている。データ分析のマーケットが著しく成長している一方、データサイエンティストの不足は3万人ともいわれる。人材育成は日本にとっても同社にとっても喫緊の課題だ。そこで2018年度の新卒からデータサイエンティスト養成に特化した講座を2カ月間行っている。これまで同社は社外に向けてデータサイエンティストの育成支援サービスを提供していたが、その知見を社内でも生かすかたちだ。
18年度採用の新卒は12名。求める人材像を尋ねると、行方氏は3つの条件を挙げてくれた。1つ目は、実データの分析が好きであること。データサイエンティストの仕事はそのイメージに反して、細かいデータの整理など泥臭い作業がつきもの。「実データをこね回して見えてくるものがあるんです」。2つ目は線形代数や微積分など数理的知識の基本に抵抗がないこと。そして3つ目は〝柔軟性〞。これがもっとも重要だと行方氏は言う。
「研究開発的な案件が多く〝やらないとわからない〞ことばかり。当初の計画どおりにはなかなか進まず、途中で方向転換せざるを得なくなることも多々。方向転換後も、どこまでチャレンジするか、手堅くまとめるか、といったさじ加減が難しい。最初に要件定義を決めて、そのとおりに進めたいという人には厳しいかもしれません。逆にいうと、プロジェクトに対して柔軟に取り組める方、言い換えると試行錯誤が好きな方は、非常に向いていると思います」
第4セクション セクションマネージャー
シニアアナリスト
行方隆人
なめかた・たかと/2009年、筑波大学大学院ビジネス科学研究科経営システム科学専攻修了。SIerにて消費者金融業界向けの信用リスク分析業務に従事し、信用リスク評価モデルの構築、ポートフォリオの最適化などを行う。14年、株式会社ALBERT入社。需要予測、外観検査、異常検知等のプロジェクトマネジメントを担当。
設立/2005年7月
従業員数/121名(2018年3月末現在)
所在地/東京都新宿区西新宿1-26-2 新宿野村ビル15階
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